自営工事とは行政等の道路管理者以外の者が行う工事の総称です。通常の道路の維持管理は当然に行政が行いますが、自用のために道路側溝に蓋をしたり、縁石や植栽を切除する場合には、道路管理者に申請して許可を得たうえで工事を行う必要があります。

自営工事の例

弊社の分譲地で建物を解体した際に、敷地と地続きになっていた道路部分も撤去したため、松本市の道路維持課より自営工事にて道路部分を復旧するように指示がございました。当然費用は弊社負担となり、工事の申請から着手、完了に至るまで事細かに報告する必要があります。

もともとセメントかモルタルが敷設されていて、弊社の分譲地の一部と思っていたところが、近隣の方々と行政(道路維持課)立会いの下、境界確定測量を実施した際に道路幅を4m確保するように微調整した結果、敷地の一部が道路部分となってしまったという状態です。

民地同士での境界を決めるケースではあまりございませんが、民地と道路等の官民境の場合は、過去の測量図面や周辺の道路幅等を勘案して微調整することはよくあることです。見た目は民地の一部となっている状態でも道路としてお互いが了承すれば境界が確定します。

わずかな面積でも道路として認定されれば、その部分に建物や構造物を建築することはできませんので、行政の指示に従って復旧工事を行います。今回は以前の状態に原状復旧すればよいということでしたので、外構工事の延長でセメント等を埋めればよいということになります。

わずかな工事でも、施工図や工程表、工事中の写真や完了後の報告など一連の書類が必要で、けっこう面倒な手続きではあります。今回は復旧のみですが、側溝の蓋や道路の舗装工事などは行政の基準に合わせて施工する必要があり、予想以上の費用が発生します。

行政側としては施工後の管理は行政が行うことになるので、すぐに劣化するような工事では許可できない事情もわかりますが、わずかな工事でもそれなりの条件が課せられますので、自営工事をする側からすれば予想外の出費となります。

自営工事の申請が必要なケースであっても、知らずにあるいは故意に手続きを省いて工事を終わらせたというようなお話も聞きますが、後になって指摘を受けて余計に面倒になることのないように分譲した会社の責任として対応していきたいと思います。