河川沿いの土地を売却する場合は河川法の規制を受ける可能性があります。洪水などの災害の発生の防止、河川が適正に利用されて流水の正常な機能が維持され、河川の環境整備と保全がなされるように、造成工事や建築工事に規制をかける法律です。

河川や堤防は河川区域となり、河川区域に家を建てることは考えられませんが、建物を含む工作物の建築は法律で禁止されています。イベント等の仮設物であれば許可を得て設置ができることはございますが、原則は禁止されています。
さらに河川保全区域というのがあって、河岸又は堤防、護岸等の河川管理施設を保全するため、支障を及ぼす行為を規制するために指定される区域のことを言います。長野県においての河川保全区域は河川区域の境界から18mまでの土地で工作物の新築等の行為を行う場合は許可が必要です。
河川沿いで工事をする際には許可が必要となることがほとんどですが、その他に河川区域を利用する際にも許可が必要です。普段の散歩等での利用は公共物ですので自由に利用できますが、例えば自宅に入るための進入路上に河川区域がかかる場合は許可が必要です。
占用許可と言われる制度ですが、利用する河川区域の広さによって占用使用料が発生いたします。利用方法や舗装の有無等によって異なりますが、凡そ㎡あたり200~250円費用が発生します。玄関にはいるための1㎡程度の利用であれば年間200~300円ということになります。
ただしこの占用許可を受ける際に注意しなければいけないのが、敷地が河川側以外の部分で道路と接していてそこを利用できる状態だと原則許可が下りません。生活に必要な最小限の許可という考え方があるので、他の部分が利用ができるのであれば河川区域は利用させないということです。
河川沿い以外で接している道路が車が通れない状態でも、河川沿いからの車両進入のための許可が下りないという事案がありました。役所調査を行った際もそのような指摘がございませんでしたが、購入する側からすれば知っていれば購入しなかったとう判断にもなりかねません。
不動産会社としての説明責任を感じながら最悪のケースも想定しておりましたが、最終的には個別事案ということで、多少の技術的な費用は発生いたしましたが許可を得ることができました。長年業務に携わってきて初めてのケースでしたが、今後の業務に活かしたいと思います。