賃借権所有権といった権利と比べると、あまり馴染みのない地役権。どんな時に設定されるのでしょう。

よくあるのが、電力会社等が電線工事等の際に立ち入ることができるように、電線の直下の土地に設定したりしていますが、住宅用地を購入する際にも設定を検討するケースがございます。

地役権設定されている分譲地の区画図
②と③の土地の通路部分は2m幅づつ所有します。
🛣 何のために地役権を設定するのでしょう

地役権というのは、一定の目的(通行等)のために、他人の土地を利用するための権利です。

よくあるケースは、他人様の土地を通った方が、駅などの目的地に出やすいといった場合に設定されます。もちろん勝手に設定して通れる訳ではなく、双方の合意(契約)がないといけません。

利用する側の土地を「要役地」利用される側の土地を「承役地」と言います。

当然、契約して設定すれば、登記簿謄本にも地役権の設定が登記されることになります。

なあなあで使っているケースもありますが、それはお互いが納得していれば問題ないとしか言いようがありませんが、代が替わったりしたとたんに、揉め事になったりする可能性はありますよね。

🛣 設定するのであれば購入時に検討しましょう

上記の分譲地の場合でしたら、②土地と③土地が通路を2m幅づつ所有することになります。

しかし、2m幅では車の通行がおぼつかないですし、恐らくお互いの通路を相互利用しなければ敷地内に駐車するのは困難でしょう。

ということで、②土地と③土地はお互いの通路にそれぞれ地役権を設定することになります。

2mづつ分けないで、1/2づつの共有とする場合もありますが、その場合は地役権を設定する必要はございません。お互いに当然に利用する権利があります。

共有にすると固定資産税の納付書がどちらかにしか送られてこないので、どちらかが集金、あるいは持ち回りで支払うという手間がかかります。負担をはっきりさせるためにも、分けておいて、それぞれに納付書が届くようにしておくためにも、地役権という方法が取られているという側面もございます。

地役権の設定には当然費用も発生しますが、長い目でみた場合は権利をはっきりさせておいた方が良いと言えるでしょう。

共用の通路等があるような土地を検討する際にはご参考にしてください。