先日、無事に中古住宅のお引渡しを迎えることができました。
売主様、売主側仲介業者、買主様、買主側仲介弊社、司法書士同席のうえ、買主様のお取引銀行の応接室をお借りしての決済(お引渡し)業務。
弊社から簡単なご挨拶をさせていただき、手続きが始まりました。
🖊 相続した際の権利証がありませんでした
所有権移転の手続きのために、司法書士さんが売主様の権利証を確認しましたが、「もう1通は?」の一言に、売主様の顔が・・・嫌あな空気が流れました。
先代が新築された時のいわゆる保存登記の権利証はご持参だったのですが、その後相続した際の権利証がありませんでした。
持参された権利証が全てと思っていて、どうも記憶にないような感じでした。
通常でしたらそのまま本日のところはお開き、となります。しかし、今回については買主様のほうで建物を解体することも視野に入れていましたので、所有権の移転登記は行わないということで進めることができました。
売主様には、建物を解体すること、移転登記をしないこと、建物内の動産があれば処分すること、建物の滅失登記をすることを承諾する旨の内容を手記していただき、持参した保存登記の権利証は、司法書士の預りとして無事?完了することができました。
余談ですが、買主様としては建物にかかわる移転諸費用が浮いたということで結果的には良かったということにもなりました。
🖊 権利証がないと不動産を売れない?
権利証の再発行はできません。
となると不動産の売却はできないのかというと、そんなことはありません。
ひと昔前は、権利証の替わりに保証書という書類を作成していましたが、不正やなりすましが頻発したのでその制度は廃止となりました。資格者等が協力すれば簡単に作成できたのですね。
今は、法務局からの内容証明郵便による事前通知制度や、司法書士等の資格者による本人確認により、厳密に本人であることを確認したうえで取引を行います。
ただしいづれの場合にも費用と時間を要しますので、当日に行うのは不可能です。権利証がどうしても見つからない場合には、予め(2~3週間前)有資格者にそういった手続きを依頼して準備しておかなくてはいけません。
私は、過去に権利証がないケースがあった時には、5~8万円程の費用はかかりますが、時間的に早いので資格者による本人確認をお願いしていました。費用は売主様のご負担となります。
デジタル化が加速する時代ではありますが、権利証は必ず必要ですので、ご心配な方は確認しておくようにしましょう。