建物や門塀を新築または大がかりな増改築をする際には、前面道路が4m未満であれば、道路の中心線から2m敷地を後退させて行政に寄付をするなりの必要があります。

これがセットバックと言われるものですが、建築基準法で義務付けられています。

幅2.5mの松本市道
幅2.5mの松本市道
🛣道路後退は建築基準法で義務付けられている

法律の主な目的は、緊急車両等の通行をスムーズにするように、建物等を(再)建築する際には敷地を後退させて、全ての道路幅を4m以上に広げていくということです。

これがいわゆる道路後退(セットバック)と言われるものです。このような道路を、建築基準法に定めれらている条項から2項道路と呼ばれています。

4m幅というと、最近の車の大型化を考えるとすれ違いは厳しい幅ではありますが、何せ昭和47年に制定された法律が今でも運用されています。

道路の中心線からお互いに平等に後退して、4m以上の幅になるようにするのです。例えばもともと3m幅の道路の場合は、4m-3m÷2(両側が互いに)=0.5mづつ後退させなければいけません。

後退した部分は、松本市であれば寄付をして道路の一部となります。

松本市の場合は、測量や後退用地の整備は松本市が行います。また、後退に伴い撤去しなければいけない塀や植栽などがあれば、補助金が交付されます。

🛣道路後退は不要でも寄付する場合もあります

松本市の場合は、都市計画区域内にある市道が対象となり、全長の約18%が対象となります。基本的には都市計画区域内の市街化区域内のみですが、松本市では令和3年度より市街化調整区域も対象になりました。

それ以前の調整区域では道路後退の義務はなかったのですが、売買等により所有権が変わるタイミングで敷地の面積確定の測量の際に、道路との境界で立ち会いする行政側から寄付の提案や依頼があることがあるのです。

自分の土地が狭くなるので、あまり気持ちはよくないですし、行政から土地代金をもらえることもないので合意するケースは少ないと聞きます。

先日、仲介でお手伝いさせていただいた土地は市街化調整区域にありましたが、敷地の一部を松本市に寄付していました。宅建業者が買い取って再販する物件でしたので、行政から寄付を相談されて気持ち良く?ご厚意で寄付した次第とのことでした。

これも宅建業者としての街並み整備への協力という意味で、義務と言えるかもしれませんね。道路が広くなって近隣の方々が便利にご利用いただければと思います。