不動産は大きな買い物ですので、売却までにはそれなりに時間を要します。個別取引や市場に出る前に紹介された物件が時間をかけずに契約になるケースもございますが、一般的にネットに掲載されて販売されている物件は際立って割安でない限りは売却までにそれなりの時間がかかります。

ただし一見割安に見える物件でも、よく調べてみると前面道路や敷地までの通路が狭小だったり、土地が道路より低いといった物理的なデメリット、あるいは古屋が建っていて解体費用が必要なケースで工事費相当額を上乗せすれば相場なりの価格だったということもあります。
周辺相場に比べて割高と思われる物件には、敷地の形が整形であるとか道路の方向が南あるいは角地で道路からの進入が容易などそれなりに理由がある場合が多いですが、明らかに割高な場合、あるいは特定の建築会社が指定された建築条件が付いた物件は売却までに相当の時間を要する場合があります。
土地を購入する際には、立地や周辺環境が重要な要素となりますが、それらの条件が希望にほぼ合致すれば価格が想定予算内であれば多少割高であっても購入を検討することもありますが、それでも価格は安いに越したことはないので、値引き交渉に入る方は多いのではないでしょうか。
ネット掲載物件を見ていると割高と思われる物件は長い期間掲載されています。ただ割高であっても希少性の高い立地で広さや土地の形により価格が抑えられた物件は早期に売却となっている印象です。なかなか売れない物件というのは割高な理由だけでなく不動産会社側の都合によることもあります。
2025年1月に不動産取引における「囲い込み」に法的な規制が入りました。囲い込みとは、不動産会社が売却を依頼された物件の情報を他社と共有せずに自社のみで取引を進めようとする行為で、売主だけでなく買主にとっても不利な取引を生む可能性がある行為です。
情報を公開しないあるいはネットで公開されていても、商談中等の理由により取り合わないようにして自社のみで取引を成立させて、売主買主の双方から仲介手数料を得るのが目的です。結果的に成立することになっても、他に好条件で売却できる機会を損失させてまで行う行為が問題視されたということです。
情報公開が制限されるとそれだけ売却の機会が失われることになり時間ばかりが経過します。買主側にとっては希望の物件が買える機会を損失することになります。ただし不動産会社を通さずに直接取り扱い会社に連絡すれば取り合ってくれる可能性は高いでしょう。
例えば売上必達のノルマが厳しい会社で、囲い込んで売上げを確保したい気持ちも分かりますが、規制強化により今後は行政処分が来る可能性も高く、そうなれば売上は確保できても信用を失う結果となりますので今後は不動産業界の透明性もより高くなることでしょう。