売却の依頼を受けた土地に古い建物がそのままの状態であることはよくあることです。そのままでもよいのか取り壊した方が良いのかという相談ですが、結論から言えば建物を取り壊した状態の方が売却するには有利と言えます。

有利というのは、建物がある状態で売却するよりも売却までの時間が短く、また価格も高く売れる可能性が高いということです。建物がある状態だと、土地としての売却価格から解体費用相当額を差し引いた金額での表示となるのが通常です。

ポータルサイト等で周辺相場に比べて安いと思ってよく見てみると、解体費用は買主側の負担と書かれていることがあります。恐らく仲介している不動産会社に相談して凡その解体費用相当額を差し引いた金額が売出し価格となっていると思います。

購入する側としては、見当もつかない解体費用を想定して検討するのはハードルが高いでしょう。また更地の状態が確認できないまま契約することになりますので、建物の配置や間取りの検討も不安を残しながらということになるかと思います。

古屋付き物件の買取り経験を積んできた不動産会社ならまだしも、一般の方々が不安やリスクを抱えたまま購入するのは難しいですが、希望通りの立地や広さで信頼できる不動産会社のエスコートがあれば決断に至るケースももちろんございます。

契約前に解体費用のお見積りを取る時間をもらって総額費用が予算内であれば、検討する余地はあると思います。隣地との境界確定については立会い測量をすることが望ましいですが、境界標がしっかりしていれば、費用をかけず隣地者と確認する作業に留めるというのもひとつです。

そのまま購入することのちょっとしたメリットは、解体するタイミングを見計らって毎年1月1日時点で建物が残っていれば、固定資産税が更地の状態に比べて5分の1程度になります。その後1年以内に建物が完成すれば更地での課税を免れることができます。

建物が残っていると地盤調査もできないため、周辺の地盤状態を調査しながら地盤強化費用相当額も念頭に総額で周辺相場と比べて安いようなら検討すればよいかと思います。あとは地中残置物が出た場合の費用は売主側に請求できるような内容の契約を締結することが望ましいでしょう。