都市計画法や建築基準法、あるいは松本市の条例によって、建物を建築する際には様々な制限があります。建物の高さや大きさ、屋根の勾配や外壁の後退など地域ごとに制限が異なります。一般住宅であればそれほど大きな弊害になることはないですが、不動産会社には十分に調査する義務があります。

松本市デジタルマップより

特に松本城周辺は火災が発生した際の延焼を抑える義務や建物の用途制限、高さや壁面の位置制限、意匠デザインについて制限がかかる地区が多く、調査もより慎重になります。また将来の道路や公園などの都市施設が計画されている場所で建築する場合には、都市計画法第53条の許可が必要となります。

計画決定はなされているものの実現するか不明な施設も多く、例えば弊社事務所前の都市計画道路は計画自体が中止となっています。昭和30~40年代に計画決定されたものが多く、将来的な人口増や車社会を想定して計画されたものの、人口増が止まり車両登録台数も頭打ちになってきていることが原因でしょう。

それでも都市計画決定されている道路や公園などの都市施設の区域内で建物を建築する場合には、必ず許可申請を行い、特定の条件に適合している場合のみ許可を受けて建築行為を行うことができます。通称53条許可と呼ばれていますが、具体的にはどのような内容なのでしょう。

建物の階数は二階建てまでで、かつ地下階を有しないこと、建物の骨組みとなる柱・壁・床などの主要構造部は、木造、鉄骨造、コンクリートブロック造であることが条件です。逆に言うと三階建ての建物や鉄筋コンクリート造のような強固な建物は許可が下りないということになります。

理由は都市施設の計画が実現される際には、ただちに容易に建築物を撤収できるようにしておく必要があるからです。さらに注意が必要な建物として長期優良住宅があります。文字通り長期維持できる建築物という意味では木造二階建てであっても53条許可が受けられないということになります。

省エネ性能や断熱性能については法改正により基準が厳しくなりましたが、長期優良住宅の認定は義務ではなく任意となっています。建築費用がさらに上がって認定にかかる費用も発生することから、少数派という印象がありますが、都市計画施設内では建築許可が下りない可能性が高いので注意が必要です。

重要事項の説明不足ということで、不動産会社が多額の賠償金を支払ったという事例もあります。実現性が低い計画であっても計画が中止にならない限り必ず許可が必要となりますので、不動産会社としても十分に留意して調査する必要があるでしょう。