不動産の売買契約の際には、その物件についての重要な事項が説明されます。
この重要事項説明、あるいは売主から説明される物件の状況告知の内容と異なる事態が発生した場合には、契約を解除できるものなのでしょうか。
🙅解除できるケースは限られている
不動産の売買契約は金額が大きいこともあって、そう簡単には解除はできません。
できたとしても違約金を支払う必要があったりします。手付金を放棄して解除をしたケースや、買主側の一方的な都合での解除のために違約金を支払って解除したケースは、これまで実際にありました。
ただ何もなく解除するというケースは、勿論双方が合意すれば可能ですが、通常の取引では考えにくいと思います。
当初の説明と異なっていたというケース、法律上は「契約不適合」と言いますが、こんな場合もよほどのことがない限り、補修や変更などの物理的解決や、補償などの金銭的解決により成立します。
個人の感情論だけではなかなか解除まではできません。解決に向けての動きが全く感じられないでいる場合には解除に至ることもあるかと思いますが、そんなケースは稀でしょう。
お互いが成立に向けて話し合いで解決していくというのが、基本的な考え方ではないでしょうか。
🙅心理的な要因での解除はさらに難しい
例えば、見晴らしや景観重視で購入した物件が、後々になって周辺に高層の建築物が建てられて阻害されることになってしまった、何とも残念なケースも過去にはありました。
正直、周りに何が建つかということは、業者でも認知することは難しいです。ある程度高さ制限があるような地域でしたらそれなりに説明はできるのですが、そうでもなければ想像でしかお話できないこともあります。
大規模な開発プロジェクトであればある程度周知されていますので、説明は可能ですが、個人レベルでの建築までは認知できるとしても、役所に行って建築確認を調査したとしても、既に建築は決まっています。
売主が業者であって、絶対に建たないと断言してしまっていれば、それに対しての損害賠償や錯誤無効による契約白紙といったことは考えられますが、通常は重要事項説明の際に、周辺環境については将来変わる可能性があると説明されていることが多いので、感情的に訴えても難しい部分はあるでしょう。
心理的な要因は個人差がありますので、十分な話し合いをして合意するというプロセスが必要になるでしょう。