お客様は神様です、という表現が流行した時代もありましたが、不動産取引の場合は少し色合いが違います。
買主にとっても世にひとつしかない買い物です。希望の物件に出会った時には、売主が神様、とまでは言いませんがきっと出会いに感謝されることでしょう。
🙅売主が契約をお断りする際の理由
不動産会社や販売会社が売主となって契約するケースでは、ローンが組めないなどの買主側の理由でもなければほとんどお断りすることはないかと思います。商売ですのできっちりとお支払いをいただけるのであれば、多少不安な要素があっても契約は成立となるでしょう。
ただし、建築会社や建売分譲会社の場合は、打合せの段階で、相当な無理難題を突き付けてくるようなお客はお断り、というお話は聞いたことはあります。
契約後も言わば一生お付き合いしなければいけないので、その後のクレームなどを想像するとお断りするケースもあるのでしょう。
多少こだわりがあったり細かい要求は受け入れられても、受忍限度を超えるような価格交渉をしてきたりと荒っぽいお客であればお断りしたほうが、今後の関わりを考えてもお断りするのが妥当なのでしょう。
そういえば私も以前に、新築建売住宅のまさに契約押印直前になって値引き交渉をしてきたお客にお帰りいただいたということがありました。相当粘られましたが、その時もふと今後の関わりを想像していたような気がします。
🙅個人が売主で契約をお断りしたケース
業者が売主の場合は、数あるお客様のひとりということもあり、多少の不安要素はあっても組織で対応できるということもありますが、個人の売主にとっては唯一といってもいい買主となります。
当然、業者が売主の場合とは異なり、売主責任というのは負わないのが通常ですが、多くの方にとっては大切な財産を引き継いでいただくということになります。
責任は負わないとは言え、相場からかけ離れた高値で買っていただくのならまだしも、そんなケースは稀で、極端なお値引きを突き付けられるとその時点で合意はできないでしょう。
また心情的に売りたくないというケースもあります。
同じ物件に対して別々の不動産会社を通じて申込みが行われたケースがありました。もちろん価格は同額ですが、どちらかお値引き交渉ができた会社を通じて購入しようという魂胆なのでしょう。
何だか売主はもちろん、知らずに依頼された業者にとってもあまり気持ちが良いものではありませんね。結果、売主がお断りしました。
あとは現金を振りかざした横柄な態度の買主をお断りしたという場面もありましたね。
売主買主どちらにとっても大切なご縁です。引渡しの際に、売主に向かって深々と頭を下げて感謝の意を述べられた方とのお取引は感無量でした。