前職で新築建売住宅の建売用地の仕入れとアフターサービスを担当していた頃の出来事です。週末の朝7時頃に枕元の携帯が鳴って寝ぼけ眼で出たところ、片言の日本語で押し入れの中で雨が降っていると言うのです。数週間前にお引渡しとなった新築建売住宅の購入者の奥様からでした。

中国のご出身でしたのでそのお話ぶりからすぐに相手が誰なのかは分かりましたが、言っているお話の内容がよくわからず、窓を開けてもその日は晴天でしたので、窓等から雨が吹き込んでいるということも想像ができません。

とりあえずすぐにお邪魔することを伝えて現地に飛んで行きました。携帯がある昨今のアフターサービスは便利ではありますが、様々な時間帯に連絡があるのも仕方のないことです。さらにほとんどが困っているケースなのですぐに対応することも求められるのでけっこう大変ではありました。

複数棟の現場も多く、一度に同じような処置をすることもあったので、多少の応急処置はできる範囲でその場で行うようにしていました。そのため担当してから数か月経った頃の車のトランクの中は工具や材料がそこそこのDIYができるほど積まれているような状態でした。

雨が降っているという連絡があった現場に到着して2階寝室のクローゼットに案内されました。中を見てみると、雨が降っているという表現は別として確かに天井から水滴がポタポタと落ちてきていて中の寝具がかなり濡れてしまっていました。

結露であることは間違いなく早速点検口から天井裏を見てみると、断熱材の施工不良ということが判明しました。担当した大工さんがご近所だったこともあり、すぐに補修対応していただきましたがお客様の不信感はぬぐえることもなく怪訝な表情だったのを思い出します。

天井裏の断熱材施工状況を一通り点検させていただき、濡れてしまった寝具類のクリーニング代をお支払いさせていただいて、他に気になることがあったらご連絡いただくということで一旦はご了承いただいたような感じでした。

断熱材の施工不良は部屋や天井の隅部分に多く見られます。水滴が付き始めたり家具を移動したらカビで黒ずんでいたなんてこともございます。できることなら断熱材の施工完了時には自身の目で点検してさらに写真を撮っておくとよいでしょう。