不動産の購入を即決する場面というのは少なく、多くの場合は口頭で予約をしたり買付証明書と呼ばれる書類を提出して予約することになります。契約の締結までの期間については特に定めや決まりはなく購入側の状況を勘案して1週間~1カ月程度というのが一般的です。

不動産屋さんのイラスト

口頭での予約も有効ではありますが、購入の意思をしっかりと伝えるためにはやはり書面で提出したほうが効果はあります。売る側としても金額が明示されていますので口約束よりはお値引きされるリスクも減り、その後の計画も立てやすくなります。

一方購入する側としても金額や期限を決めて書類を提出することにより、しっかりと意思表示をすれば他の検討者へ流れるリスクや心配が軽減されて、じっくりとその後の計画が立てやすく前向きに行動を起こそうという気持ちにもなります。

証明書と言っても原則は法的な拘束力はございません。稀に不動産会社によっては提示した金額より他から高い金額を提示された場合に、そちらへ流してしまうということも実際にあります。そういう意味でもあまり長い期間を設けてしまうことはリスクを伴うことになります。

買付証明書の期限が1週間という分譲会社もありますが、建売住宅なので現物は見ている前提で提出するということ、さらには住宅ローンなどの金策も金融機関による仮審査等が済んでいることが前提ということで短い期間が設定されています。

一方土地を購入する場合には、金策はもちろん建築会社も未定という方がけっこういます。そのような場合は希望している間取りの住宅がその土地にうまく配置できるのか、あるいは日当たりはどうなのかなどの検討をする必要がありますので、2~3週間は必要ではないでしょうか。

買付証明書は法的な拘束力がなく、裁判においても道義的な拘束力をもつ文書に過ぎないという判例もあります。あくまでも合意のもと売買契約を締結するまでは、例えどちらかがキャンセルしても損害賠償等の責任は発生しないことになります。

ただし契約条件や代金の決済条件等がほぼ固まっていて、さらにどちらかが売買契約に向けた準備行為等に着手しているといったケースの場合は、お互いの信頼関係が築かれる段階まで達していると判断され損害賠償請求が可能になったという事案もあります。

不動産の売買は売る側も買う側にとっても大きな出来事です。法的な縛りはないとは言え、決して軽い気持ちでは提出しないようにしましょう。