食事をしたり日用品や嗜好品を購入する際には、好みのものがなかったり売り切れという状況でもなければ確実に購入することができます。しかし、不動産取引のように相手がいる取引ではこちらの意向とは裏腹に相手の状況によっては取引が実現しないこともあります。

売地のイラスト

不動産売買の取引は金額も大きく多くの方にとっての一大イベントになります。購入する側は日常生活の中で色々な情報を取捨選択しながら長い時間をかけて考え悩み、不動産会社や身近な人に相談しながら時には心が折れそうになる方もいることでしょう。

一方売る側も自宅を売るとなれば次の住まいを探さなければいけないこともありますし、また金融機関から借り入れのある方は残ったローンの返済も終わらせなければなりません。ローンを返済して多少手元に残れば良いですが、昨今の長期借入ではそうもいかないことが多いのが実情です。

特に購入する側は精神的にも体力的にも心労の多い不動産取引です。ようやく決めた物件の申込みを終えて売主の合意が得られた段階になれば重荷が取れて希望が湧いてくるものでしょう。いきなり大幅な値引要求でもしなければ後は不動産会社の主導でお話が進むことになります。

日常のお買い物とは異なり不動産取引は時間をかけて行うものです。現金購入の場合で即日で完結することも稀にございますが、通常は申込時に定めた日程で売買契約の締結を終えると、その後は借入れの段取りを行い最後の引渡しに向けて準備を行います。

一般的には申込から引渡しまでは1.5~2か月を要します。その間に何もなく完結するケースがほとんどですが、どちらかの事情により破談となることも稀にあります。契約後に契約内容に則って解除となるケースもしかり申込みを終えて売買契約を締結するまでの間に破談することもあります。

契約はしたものの物件に大きな欠陥があって住めないあるいは建築できない、また買主がお金を借りられなかった等売買契約にも解約事由として記載されているような事情であれば双方納得とは言いませんが契約が成立しないことになります。

契約する前に破談となるケースの多くは個人的な事情です。申込等があっていよいよお話が進むとなった段階で、急に不安になって申込みをキャンセルしたり、あるいは売る側の欲が出て価格増の要望があったり、身内が騒ぎだして事情が急変することもございます。

お話合いをして解決することもございますが、そのまま破談になってしまうことの方が多い気がします。不動産業務の中では時々あることですが、そういったリスクを少しでも軽減するのも不動産会社としての役目なのかなと思うところでございます。