買い手も見つからずマイナスにしかならない「負動産」、自宅等が将来的に子供たちの重荷になってしまう「負動産」の相続に頭を抱える方は多いと思います。住宅については子供たちが必要としない場合は、高額な税負担も考えれば処分するのか事前に話し合いをしておくのが大切です。

家族みんなで話し合うイラスト

過去に、実家をご相続されてせめて支払った相続税額に見合う価格で売却できればというご相談もありましたが、結果は隣人の方に何とか希望額の半分程度での売却で収まったという事例もありました。事前に話し合って相続税を支払う前に売却しておけばよかったと後悔されていました。

70歳代以上の親世代には不動産価格は必ず上昇するという神話を信じて子供たちに引き継がせたいと考える方も少なくありません。一方子供世代はそういった神話時代は実感しておらず、有効に使えてこその資産という考え方があり親子間で価値観のギャップがあるのも事実です。

実家の相続は不要と考える方が増えてくると、売却も賃貸もできないような負動産も増えて空き家状態となり、その管理や処分は誰がどのようにやるのか、あるいは毎年課税される固定資産税の負担方法などの問題も先延ばしになりがちです。

問題が先延ばしにならないように、生前に子供たちにまずは相続する予定の不動産の要不要をしっかりと確認しておくことが大事です。不要ということで他の活用方法も考えられない場合には、地元の不動産会社等に相談して買取り等の実勢価格を聞いてみるのも良いでしょう。

不動産会社による買取りも含めて生前に売却できれば、子供たちも相続税や固定資産税などの税負担がなくなります。ただし新たに住む場所を探さなければならないので、そういったことも含めて事前に慎重に検討する必要があります。

仮に買い手がつかないような不動産であれば、昨年4月に創設された相続土地国庫帰属制度を検討することも考えられます。審査を通過すれば数十万円の負担金を納めて国庫に譲ることができますが、建物がある土地は対象外のため撤去費用も必要となります。

今後は空き家に対する税措置がますます厳しくなってきます。大切にしてきたご自身の資産を手放す覚悟は辛いかと思いますが、親が勝手には決めずに、次の世代に判断してもらう気持ちで生前にしっかりと話し合いをするようにしたいものですね。