念願のマイホームを購入して十数年、残念ながらご夫婦の関係がうまくいかずに離婚することになりました。弁護士を立てての調停離婚をご選択され、双方の弁護士を通じてご主人名義の自宅についても売却するということで、代理人弁護士より売却の依頼を受けることとなりました。
これまでもいく度か離婚したご夫婦のご自宅の売却に携わって参りましたが、穏やかではない状況下での不動産売却というものは、なるべく高く売りたい中でも早く済ませたいという雰囲気の中で、言葉選びにも気を遣いながら粛々と進めていくものです。
多額のローンを組んで自宅を購入するということは、それだけ家計のやり繰りにも変化が起こり、お互いの主張のすり合わせが難しくなり傷口が広がっていき、お子様がいれば尚更、家庭内の雰囲気が悪くなることを懸念して離婚に至るというケースは少なくありません。
今回のように双方の弁護士を通じて売却を進めていく場合は、ご本人と接見する機会もなく弁護士を通じて売却価格の調整を行い、ご本人の意思が固まれば売却価格を確定して、その後は直接売買契約を締結することになります。
所有者ご本人と初見で売買契約を締結するというのはとても違和感がありますが、一番はご本人が全ての事情を把握していないこともあり、まずはその辺りの説明から入ることになりました。疑念が残れば契約の締結に至らないということも想定されましたが、無事にご理解いただきました。
決済お引渡しに向けて、売主側それぞれのお荷物の運び出しの状況を確認させていただきながら、必要書類のご案内、債権者である金融機関との調整、司法書士さんとの登記関係の連携、そして退去後には鍵のお預かりも済ませてようやく決済の日を迎えることになりました。
離婚協議の中で、特に金銭のやりとりに大きく影響する不動産の売却がひと段落するということで売主も以前よりかは幾分か表情が穏やかになったような印象でした。幸い売却金で住宅ローンの残債を終わらせることができることも多少は気持ちを落ち着かせたのかもしれませんね。
売却代金の入金確認を済ませて後は鍵の受け渡し、そして図面や取説などもご丁寧に保管されていましたのでひととおりお受取りいたしました。最後に「一生住むつもりでしたの全て保管しておりました」という心からのお言葉をもって決済業務を滞りなく終えることができました。