不動産の購入は高額な資金が必要となるため、親などから援助が受けられる場合は活用するべきだと思います。援助していただける環境にあるというのはとても良好な関係であることの証です。例え購入資金の一部でもそこは甘んじて拝借する方が良い関係を続けることもできることでしょう。

相続税の非課税限度額について

ひとこと援助を受けると言ってもいくつかの方法があります。ただ単に親などが取得資金を支払うということもありますが、税制の特例を使って贈与してもらう方法や、気持ちはありがたいが甘えたくないという方は、契約書を交わして借りるという方法も考えられます。

今回のご相談者さんは中古住宅の購入を検討していましたが、当初はご本人ではなく親御さんが現金で購入してご本人夫婦が賃貸で家賃を払って借りる予定でした。親御さんは県外にいますので契約行為はご本人が行うということで、代理契約の検討を始めました。

早速に売主業者さんに相談したところ、代理契約は認めることができないということで、居住予定のご親族ではなく、契約者である親御さんがしっかり現地の物件を確認して納得した上で、さらに対面での契約行為が必要とのことでした。

約1カ月後に親御さんが松本市に来る予定があるのでそこに合わせての段取りを検討しましたが、売主側ではそれまで物件を確保しておくのは社内的に難しいということになり、結果的にご相談者さんが親から資金を援助してもらう方向で検討することになりました。

まずは住宅取得資金贈与の非課税特例についてのご質問がありました。いくらまで非課税なのかということで、省エネ性や耐震性が特に優れた住宅でない場合は500万円と贈与税の基礎控除額110万円、併せて610万円まで非課税となります。

自己資金を加算しても購入資金に及ばないということで、結果的に自己資金以外の残金全額を親御さんから借りるという方法を選択いたしました。親子間とは言え贈与税が課せられないよう契約書や返済計画書の作成、金利の設定等を税理士と相談するようお伝えさせていただきました。

親名義の家を借りるというのもひとつの選択肢ですが、将来に不動産の相続税と家賃相当の現金の相続税も考えられます。借りて返すという方法が可能であれば、節税にもなり将来は資産として残るということもあり本人のモチベーションにもなるのではないでしょうか。