不動産に関わる契約書には高額な印紙税が課せられます。契約金額が1,000万円を超えると、税法上は2万円の印紙を契約書に貼付して消印することにより納付となります。ただし令和9年3月31日までは5,000万円以下までの取引に限っては軽減措置が設けられて1万円となっています。

収入印紙のイラスト

1万円でも普段の生活の場で考えれば高額ですが、印紙税は契約書や受領書等を作成した人または法人に支払い義務があります。後に税務調査等で納付していないことがバレると3倍返しの過怠税が課せられますので要注意です。

印紙税は文書等の作成者に支払い義務がありますが、不動産売買の契約書は、売主と買主双方が合意してひとつのものを作成します。そのため、収入印紙代の負担義務は双方にあると言えます。契約書原本を1通作成する場合は折半で、2通作成する場合はそれぞれの負担で貼付します。

実務の場でも原本を1通作成して印紙代は折半という場合が多いですが、実は厳格な取り決めがあるわけではなく、売主側が負担するケースもあれば買主側が負担することもあったりとケースバイケースです。要は納税さえしていればよいということになっています。

明治時代から続く印紙税、安定的な税収が見込めるということで始まったそうですが、納める側としては何とも腑に落ちない税金です。消費税のようにメディアで報じられることもなく脈々と続いていて当たり前のように納めていますが、不動産業の場合は年間で結構な高額納税となります。

先日に事業用土地の賃貸契約のお手伝いをさせていただいた際にも、売買に比べて少額ではありますがしっかり印紙税がかかりました。さらに預かり保証金の受領証は非課税と思っていましたが、こちらについても5万円を超えると200円の印紙税が必要とはもはや何でも課税状態です。

そんな印紙税は小手先の軽減措置以外には抜本的な見直しは期待できませんので、節税するために契約書原本の作成は1通だけにする方法もそうですが、今では電子契約によるデータ作成にすることにより節税(非課税)することも可能ですので電子化を推奨していきたいと思います。