不動産売却のご相談をいただく際によくあるのが、実際に手元にいくら残るのかというご相談です。住宅ローン等の残債があれば当然売却代金から金融機関に返済する必要がありますのでその分は目減りしますが、その他にどのような費用がかかるのでしょうか。

不動産売却にかかる概算費用

不動産会社に売却を依頼した場合には、売却代金に対して法定手数料がかかります。土地は非課税取引となっていますが、建物は場合によっては課税取引となりますので、消費税を引いた金額に対して手数料が計算されます。ただし個人売買の場合は原則非課税となります。

不動産売買契約書は印紙税法で定められた課税文書に該当しますので、契約書に記載された取引金額に応じた収入印紙を貼付する必要があります。1,000万超~5,000万円以下であれば本則では2万円の印紙が必要ですが、現在は軽減措置が適用されて1万円となっています。

登記費用については、所有権の移転費用は買主側が負担しますが、金融機関の担保権が設定されていればその解除に要する費用は売主の負担となります。また住民票と登記上の住所が異なっている場合はその変更登記も必要となります。面倒なことに役所と登記所は連動していません。

登記費用は1物件1,000円の登録免許税と司法書士に支払う報酬ですが、印紙税に関しては明治時代に農業者偏重の税負担を見直し、商工業者からも徴収しようと始まった単なる税金です。毎度高額な印紙を貼付する度に見直しをお願いしたくなりますが、電子文書にすれば不要です。

不動産売却に関する費用は仲介手数料が最も負担が大きいですが、不動産売却に慣れているという方は別として、売却活動から手続きの一切をお任せできますので、節約のためにとご自身で売却活動から苦労するよりは、売買取引メインの仲介会社にお任せするほうが安心でしょう。

売却が無事終わったら最後に不動産譲渡税の申告を行いますが、購入した時より安価で売却して損が出た場合は申告不要です。ただしマイホームを売却した場合等の税制の特例を受けようとする際には申告が必要となります。黙ってても特例は受けられませんので注意しましょう。

不動産売却にかかる費用としては、仲介手数料の比重が大きいですが、その他の費用は数万円程度となります。後は買主側との約束で残置物の片付け費用や引越し費用が考えられます。最後に費用を差し引いても利益が出た場合には税金を納めることを忘れないようにしましょう。