先日に松本市郊外の土地の売却査定依頼をいただきました。親御さんが施設に入所されたことにより実家が空き家となってしまい、ご兄弟は県外にいるためご本人だけで草木等の物件管理を継続するのが重荷となってきたので売却を検討したいというご相談でした。

早速に現地に赴き調査開始。前面道路の舗装状態が悪くしかも行き止まりとなっていました。あきらかに行政の管理が入っていない感じがいたしましたが、調べてみると予想通りに公道ではなく私道でした。道路の名義は周辺の方々の共有状態となっており、幸い依頼者の持分もありました。

法的には建築基準法42条1項3号道路と言われ、昭和25年に制定された建築基準法が施行される前からある道路幅4m以上の道路で、一般的には単に3号道路や既存道路とも呼ばれています。あくまでも私道なので、公的な認定や管理は行っていないため共有者で管理をする必要があります。

道路としては認定はしていないけれども、建築基準法が施行される前から道路として使われている道なので、これまでもこれからも同じように道路として利用ができて、建築物の新築や建替えの際にも接道条件を満たしており建築許可は下りることになります。

私道にある大きな問題のひとつは、上下水道やガスの敷設工事等をする際には、共有者全員の同意が必要になります。今回の依頼物件は既に上下水道設備が敷地内に引き込まれていましたので、敷地内での配管工事のみであれば同意の必要はございません。

道路として利用できるとは言え、市道等の公道に比べて管理面において面倒なことが多く、売却査定にも少なからず影響があります。行政が公道で行う道路管理や整備を共有者の責任と負担で行うということは将来的に金銭的にも心理的にも負担がかかることになります。

市道として認定されるためにはいくつかのハードル高めの条件があり、自費で整備して認定されたというケースも稀にはあるとは思いますが、今回の道路は場所によっては4m幅もままならずさらに行き止まりとなっており今さら市道認定を受けるのは困難と思われます。

同じ道路でも私道に面している物件の不動産売却査定の評価は公道に面する物件に比べて低くなります。道路として利用できるという意味では同等なのですが、将来的なメンテナンスに対しての不安や想定外の出費といった懸念材料があるので売却想定価格にも影響します。

どのくらい価格査定に影響するのかは、今回のように建築基準法上の道路で持分があれば、少なくとも道路として継続利用できる可能性が高いので、売主側の希望価格と近隣相場を鑑みて適正価格を決めさせていただきたいと思います。