空き家の売却の相談の際には、建物をそのままにしておくか、あるいは取り壊して更地にして売却するかの2択となります。リフォームを施して売却を検討することも考えられますが、少なからず費用がかかりますので、一般の方にはあまりおすすめいたしません。

中古住宅を検討する方の多くは、まずは水回りの新調を考えます。キッチンやトイレ洗面そしてお風呂、これらを新調するには取壊し費用も含めて数百万円必要です。各々好みも異なりますので売主側で水回りだけリフォームするのは現実的ではありません。
リフォームを施すなら、中古再生販売会社並みにフルリフォームして売却するくらいでないと、期待するほど高く売却できません。それよりも破損個所をDIY修繕したり業者クリーニングを入れるなどして少しでも見栄えをよくする程度にしておくのが無難でしょう。
建物を残すかどうかの判断のひとつに耐震性が挙げられます。大きな地震もかなりの精度で予測が立てられているご時世ですので、昭和56年5月以前に新築されたいわゆる旧の耐震基準の建物で、耐震工事等をしていなければ取壊しという判断になる可能性が高くなります。
今回のご相談者さんの空き家は昭和51年新築でしたので、さらに今後利用する可能性もないということで解体して更地にするということになりました。一生にそう何度もない機会ですので解体業者さんに当てもないということで、弊社からご紹介させていただく運びとなりました。
建物解体はアスベストの含有検査が義務付けられたりその処分についても厳格化され、さらに燃料や人件費の高騰により感覚的にはひと昔前の1.5倍程度に高騰しています。知人に聞いたりしてある程度の相場観を持っておられたようですが、思ったより安価だったようで何よりです。
不動産の売却には不動産譲渡税が課せられますが、今回の空き家の場合は耐震工事を施すか建物を取り壊して更地にして、今であれば令和9年12月31日までに売却ができれば、譲渡利益から3,000万円の特別控除が受けれらますので、いづれにしても建物を残すという選択肢はなかったでしょう。
相続登記も完了されていて間もなく被相続人の1周忌を迎えます。登記費用は発生しませんので、印紙代や仲介料の説明と不動産譲渡税についてのシミュレーションを作成させていただき、売却に向けて活動を始めさせていただきたいと思います。