親が住んでいた実家などが空き家になって相続人が売却した際には、いくつかの条件を満たせば譲渡益から3,000万円が特別に控除されます。相続開始直後から売却時までに完全に空き家であったことや、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であることが主な要件となっています。

この特例は、耐震性の低い古い一戸建て空き家の流通促進が目的のため、分譲マンションなどの区分所有建物は対象外となっています。しかしながら区分所有登記はマンションに限らず、一戸建て住宅であってもマンションの区分所有登記と同様に、表題部に専有部分の表示がなされているケースがあります。
建物全体の登記がなされている下に、それぞれの建物の登記が個別に表記されています。従って家屋番号はそれぞれに〇番〇1、2・・といった様に表記されます。一戸建ての区分登記はそう多くはないので、何気に一戸建てという先入観をもって譲渡税の検討をしてしまう可能性もあります。
戸建ての区分所有登記は二世帯住宅などに見られますが、2棟が完全に分離されている、あるいは住宅の内部でそれぞれの世帯の居住空間を行き来できるような場合は、鍵付きの扉などで仕切る必要があります。内部で自由に行き来できる場合は、二世帯住宅であっても建物一棟の単独登記となります。
区分登記にするメリットは、例えば住宅ローン控除などの税制の特例をそれぞれが利用できるなどの税制面や、あとは別々の建物ですので売却の自由度も高いことでしょう。逆にデメリットは建築の際の費用が高騰になったり、相続の際の小規模宅地の特例が利用できない可能性が高くなることなどがあげられます。
売却することを前提に二世帯住宅を建築するということは考えにくく、建築コストやその費用負担の方法、あるいはその後の生活スタイルを考えて建築した結果、単独登記になるのか区分登記になるのかという判断にはなるかと思います。
また、もともとあった親の自宅の敷地内に子息等がローンを組んで家を建てるようなケースもありますが、その際に、施錠付き扉で互いに室内で行き来できる状態に建築した場合は区分登記になると考えられます。この場合は完全に別で建築した際に行う単独登記と同様の税制面でのメリットが受けられます。
しかしながら親の家が空き家になって売却を検討した場合には、区分登記をしていることにより譲渡税の特例が受けられないということになります。相続人が受けてきた税制優遇と比較してどちらが金額的にお得かというのはケースによりますが、譲渡税は多額ですので予め検討する必要があるかもしれませんね。




