土地は建物のように表札などもなく敷地内に所有者の掲示がされているわけでもないので、所有者を確認するためには法務局に出向いて全部事項証明書(電子化前の登記簿謄本のこと)を取得してその中の権利部(甲区)に記載されている一番下の現在の所有者を調べることになります。

不動産の登記見本

以前に、建売分譲住宅用の土地を仕入れて近隣者への挨拶周りをしていた中で、近くにある空地になっている土地を売却する意思があるか所有者に確認してもらえないかというご相談がありました。以前に売却しても良いようなことをお聞きしていたとのことでした。

早速法務局に出向き謄本を取得して内容を確認いたしました。権利部の甲区欄の一番下に記載されている現所有者を確認して記載の住所に訪問することにしました。連絡先までは謄本では確認できませんので、基本アポなし訪問となります。

訪問したところ奥様らしき方が出てきたので、〇〇様所有の〇〇番地の土地の件でおうかがいいたしましたとお伝えしたところ、所有者はご主人とのことでご夫婦であることには違いなかったのですが、ご主人名義の土地があったことを知らなかったご様子でした。

嫌な予感はしましたが、仕事場を教えていただいたのですぐさま出向いて名義人と面会することにしました。先に奥様から連絡があったらしく、穏やかではない様子でしたのでまずはお詫び?と言っても悪いことはしていなかったのですが、突然訪問したことも含めてお詫び申し上げました。

どうやら息子だか娘のために奥様には内緒で土地を購入していたとのこと。詳しい状況は聞きませんでしたが奥様に相談すると反対されると思いこっそり購入していたようです。結局その土地を利用する可能性がなくなったのでいづれは売却と考えているということで少しほっとしました。

その後ほぼ購入した価格での売却となりましたが、奥様も納得?されたのかは分かりません。不動産には様々な背景があるものだなと感じたものです。所有者以外にはうかつにお話するものではないですが、ご家族であってもいきなり直接的なお話は避けた方が良いのかもしれませんね。