1960年代の高度成長期時代に、安価で作業が容易ということで、耐火性に優れたアスベストという建材がそこら中で使用されていました。
大量のアスベストを吸い込んでしまった結果、発がん性物質により中皮種という悪性の腫瘍が出来て亡くなったり、後遺症を発症して問題になったのが今回の裁判の争点です。
何も知らされずに、真面目に作業していた職人さんは気の毒でなりません。国や建材メーカーが償うのは当然のことだと思います。
アスベストは「静かな時限爆弾」とも言われるほど危険な物質で、現在ではもちろん使用は禁止されています。
しかし、古い建物の屋根材や煙突なんかにもアスベストが含有されていることがあります。
飛散していなければ直ちに危険が及ぶことはなく、除去する以外にも囲い込んで密閉したり、薬品処理して封じ込めたりという方法で対処することも可能です。
ただし、いつかは解体しなければいけない時が来るでしょうから、その時は完全にそして安全に処分しなければならないでしょう。
元作業員らや遺族が国とメーカーを訴えていた裁判の判決が、昨日の17日に言い渡されました。
原告側のほぼ勝訴とする判決で、労働者という観点からこれまで認められなかった、一人親方に対する責任やメーカーの責任を認める判決となりました。
全国で33件もの訴訟となっている事案での初めての判決で、以降はほかの訴訟も和解が進んでいくと見られています。随分と時間がかかっていましたが、ようやく初の判決が出ました。
一人親方はいわゆる自営業にあたる立場なので、自己責任の範疇ということで認められていなかった、メーカーの責任の所在については自社製品であることが証明されていなかった、という理由で認められていなかったのですが、いづれも苦しい言い訳となり、結果、判決が覆ったとのことです。
もっと早く潔く対応できなかったものかなと思ってしまうところではありますが、一定の前進があってよかったなと思います。