事務所物件を探している取引先へご提案した物件の調査を始めたところ、既存の建物の下に赤線(里道)が残っていました。

昔は通路や道路として利用されていたと思われる松本市所有の敷地で、いつの間にか利用されなくなり、建物が建ってしまっているケースが時々あります。

赤線がかかる土地の地図
🛣道路ではないので利用に困ります

里道(りどう)というのは、道路法の適用を受けない法定外公共物としての道路であることが多いです。法務局に備え付けられている「公図」と言われる古い地図に赤色で着色することが義務付けられていたことから、赤線(あかせん)とも言われています。

いわゆる建築基準法の道路とは見なされないので、建物を建築する際の接道条件を満たす道路とはなりません。

ちなみに建築基準法上の道路に、この赤線の幅と併せて敷地が2m以上接道していても、接道義務を満たしているとは見なされません。言い方は悪いですが、何の役にも立たないのです(笑)。

敷地内に赤線が横切っていたり、道路と敷地の境目に赤線が横切っていたりする場合には、行政と相談して売買等により譲り受けるケースもあります。これを俗に「払い下げ」と言いますが、もちろんタダではないので、そのままになっている赤線もよく見ます。

💧赤線に対して青線というものもあります

青線というのは、法務局に備え付けられている古い地図(公図)に青色で着色することが義務付けられていたことから青線と言い、農業に必要な水を引くための水路や側溝があった場所です。

既に利用されていないことが多く、赤線に比べて払い下げ等により利害関係者の所有に移すことが多いような気がします。

赤線や青線を払下げで取得するには、申請費用や測量費用、登記に係る費用などそこそこのお金がかかります。払下げ部分の地代の多くは路線価の半分かそれ以下という感じで、面積もさほど大きくないケースがほとんどですので、地代よりも取得するための諸々の費用のほうが高くつくことが多いです。

そのため、特に弊害がなければそのままということになります。今回の赤線に関しても、建物の下になってしまっていますので、恐らくはそのままの状態で検討することになりそうです。