数年前の出来事ですが、長野市のとある土地を購入して、新築建売住宅を建築する計画を進めていました。

無事に土地の売買契約が済んで、引渡しまでに基礎工事の着工の了解を得て準備を始めるのと並行して、近隣に工事のご挨拶に回っていたところ、その土地に以前にあった建物内にて約1年前に自殺行為があったことが判明しました。

土地の造成をするショベルカー
ブログの内容とは関係ございませんがちょうどこんな状態でした
👥ご近所の方からの情報で発覚

お話をお聞きしたところ、上場企業の支店責任者の方が仕事の悩みで思いつめた結果、大量の睡眠薬を服用してお亡くなりになったとの悲しいお話でした。いくらご近所でも他言したくないような内容のお話ですが、生前に懇意にされていたこともあり、お話したことは内密にするということでお聞きすることができました。

個人的には凄惨な事件でもない限りは、ご冥福をお祈りして購入するという選択肢はありましたが、商品として新築住宅を建築するということで、会社としては計画を進めることにはNOという結果になりました。

売主側業者も事情を認識していませんでしたが、表向きは売主の告知義務違反ということで契約を白紙撤回させていただきました。その後は価格を下げて個人の方が自宅用地として、相場の7割程度で購入されました。

👥売主からの告知は必ず確認しましょう

不動産の売買契約の際には、通常は契約とは別に告知書という書類も取り交わします。物件についての過去現在の状況を売主からのヒアリングにて記載したものです。

土地について言えば、過去にあった事件事故や浸水、地中埋設物、異臭や騒音といった事象が確認されたことがあるかの告知を受けます。当然、売主自身も認識していないこともありますので、仲介会社が近所にヒアリングすることもあります。

登記簿謄本を見て、短期間で所有者が変わっているような物件は特に注意が必要です。商売として転売されたのであれば問題はないと思いますが、都合の悪い情報が判明したり、あるいは発生してしまったので転売というケースもあります。

自殺や事件などの心理的な瑕疵は所有者が変わっても事実は変わりませんので告知する義務はあります。しかし認識していなければ説明のしようもありませんので、特に所有期間が短い売主との売買においては、ご近所への挨拶回りを兼ねて情報収集することの大切さを実感した出来事でした。