不動産売買の取引において、対象物件やその近隣で過去に事件や事故があった場合には、売主は買主に対して説明する義務があります。

売主の告知義務については、現時点では法律により定められていませんが、告知しなければ義務違反により損害賠償を請求されることが考えられます。

事故物件のイラスト
👤人の死に関する心理的瑕疵について

病死、自然死、転倒やお風呂での溺水死など、日常生活で起こり得ることが予想されるような不慮の事故による死亡は、心理的瑕疵には含まれないというのが基本的な見解です。

ただし、そのような事故があって亡くなってからの遺体放置期間が長期に及び、建物に損傷を与えてしまってリフォームや特殊清掃が行われた場合や、事件性が疑われるような死亡の場合には告知が必要です。

売主の告知を要する事象というのは、火災による死亡、自殺や他殺による死亡の場合であって、その事象の内容にもよりますが、通常は6~7年以内に発生した事象については告知が必要とされています。

ちなみに、隣接地における死亡や、共同住宅における日常生活で通常使用しない共用部分における死亡、及び隣室における死亡については告知を必要としません。

👫周辺環境や眺望、日照などについては

土壌汚染、水質汚濁、地下水汚染、大気汚染または騒音や振動などの環境については、法令で定められた受忍限度内であれば心理的瑕疵とはなりません。受忍限度と言っても個人差もありますので、例えば地域住民で訴訟などが起こっている場合などは告知する必要があるでしょう。

暴力団事務所の有無も事象としては心理的瑕疵にあたりますが、建物外観での判断も難しいところですので、こちらもやはり近隣で過去に抗争事件などがあった場合は説明が必要となります。

眺望や日照などの住環境については、周りの変化に伴って環境が変わる可能性は常にありますので、心理的瑕疵として認められることはなく、売主も知らなければ説明のしようがないところではあります。ただし、景観条例等の法律で定められた法令に違反しているような建築物に該当する場合は告知が必要となります。

気持ちの問題である心理的瑕疵は個人差もありますので、取引の際には双方が合意できる内容かどうかも含めて進めていきたいところです。