2023年4月に「相続税土地国庫帰属法」という法律が施行される予定です。
相続したものの、売れない、貸せない、管理できない等の様々な事情により放置したままになっている土地を手放したいという場合に、法務大臣の承認を受けて国に帰属させることができる制度です。
🏘何でもかんでも承認されるわけではない
お金にならない、管理が面倒などの単純な理由だけでは帰属が承認されるわけではありません。建物があったり、担保が付いていたり、誰かに貸している物件は承認の対象にはなりませんし、土壌汚染が確認されたり、境界が不明瞭な土地についても同じく帰属は認められません。
法務大臣による審査でも、崖地になっていたり、工作物や車両、樹木などの有体物が地上もしくは地下にあったりして管理に費用がかかることが予測される物件や、管理にあたり近隣との調整が必要であったりと、通常の管理にあたり労力や過分の費用がかかるような物件は認めてもらえないような法律になっています。
💰当然タダで帰属できるわけでもない
要件の審査を通過して、法務大臣の承認を受けた場合は、標準的な管理費用を考慮して算出した、 10年分の土地管理費用相当額の負担金を納付する必要があります。負担金を納付して初めて国に帰属することとなります。
負担金についてはこれから定められる予定のようですが、宅地・田畑・山林・・・といった土地の種類(地目)によって定められる予定です。
当然、面積が大きくなれば負担金も多くなることが予測されますが、宅地については面積にかかわらず一律になる予定だそうです。ちなみに国有地の標準的な10年分の管理費用は、通常管理で足りる原野などは20万円程度、市街地の宅地では60坪程度で80万円程度となっています。
今後は、相続で取得した不動産の処分方法としてこの制度も検討することになるのでしょう。