不動産の売買契約を締結する際には、手付金の支払いとともに、手付金放棄による解除についての条文も契約内容にあるのが通常です。解除する場合、売主買主はその相手方が本契約の履行に着手するまでに書面により通知して、買主は手付金を放棄、売主は倍返し・・・といった内容です。

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ここで、本契約の履行の着手とありますが、とても分かりづらい表現ですよね。買主側の場合は、例えば中間金を支払った、あるいは引越し業者と契約したなど、一般的にはもう後戻りができないような状態になった場合が履行の着手にあたると解されています。

では売主側の場合はどういった行為が履行の着手にあたるのかと言うと、例えば引渡しに向けて、契約内容に沿って土地の分割登記を行った、あるいは所有権を移すための移転登記の手続きに入った場合などが考えられます。

実際問題としては、ここまで進んでいれば手付解除という事態は想定外だとは思いますが、例えば不測の事故などにより引渡しが不可能になった場合であっても、契約上は手付解除ではなく、契約違反となり解約金額の10%など多額の違約金を支払うことになります。

実際に、違約金を受領して契約解除になったという経験もございます。誠に勝手な都合でしたので買主側にも説明して渋々ご理解いただきました。また、交通事故により引渡しができなかったという契約もありましたが、気の毒でもありまた微妙なタイミングでもありましたので、手付放棄による解除で応じたこともありました。

不動産売買は、売主買主双方にとって大きな契約となります。原則はいかなる理由によっても解除はできません。業者によっては解除の条項を折り込まない契約にするケースもございますので、契約の際には、解除の条項については特に注意して確認するようにしましょう。