住み慣れた自宅を出るのは避けたいけどまとまったお金が必要。そんな方には自宅を売却した後も買主に家賃を支払うことで居住し続けることができる、リースバックと呼ばれるサービスがあります。そんな制度を巡って高齢者の不動産売買トラブルが増えているようです。
住み慣れた家を離れることなく老後の資金を確保できるとあって、高齢者の利用が年々増加しているリースバックという取引。魅力的な制度ですが、不動産売買の知識に乏しい高齢者を狙って強引に契約を迫るという事例も増えています。
相場や市場価値に乏しい高齢者に対して、不当に安い価格で不動産を売却させて、逆に以後支払う賃料を市場価格よりも割高に設定されたりするトラブルが多く、受け取った売却代金がみるみる目減りして将来の不安が益々大きくなってしまいます。
売買契約書の特記事項に家賃が小さく記載されているだけのものもあり、契約時点では内容を把握することが難しく契約書に署名押印してしまっているので、その後キャンセルするにもできない、あるいは契約違反による多額の賠償金の支払いを要求されたりもします。
訪問購入に関するで法律では、不動産取引はクーリングオフ(契約解除)の適用対象外で、宅建業法にもクーリングオフの規定はあるものの売主が不動産業者の場合のみ適用で、個人売主には当てはまらないので救済は難しいでしょう。
リースバックはとても良くできた制度ですが、知識がないまま利用した結果、安い価格で売らされて将来への不安が増幅してしまえば元も子もありません。目先の大金に惑わされることなく、まずはご親族や地元の不動産会社等の専門家に相談することが先決です。
売却価格が適正であることはもちろん、売却する方法以外にも、自宅を担保にしたローン(リバースモゲージ)の検討や高齢者向けの賃貸物件への入居なども検討しながらしっかりと将来への計画を立てるようにしましょう。