不動産は同じものが2つとない高額な商品です。価格や立地環境はもちろんのこと隣接者との境界についても非常に重要な要素です。いくら希望に近い物件であっても隣接者と大揉めしているような状態の土地を購入するのはなかなか厳しいでしょう。

境界確認申請書

土地の境界については、法務局に備え付けられている公図と言われる古い地図によりある程度はその範囲が確認できますが、同様に備え付けられている地積測量図という図面により詳細な境界を確認することになります。

地積測量図の作成時期が最近のものだと信憑性は高いですが、昭和35年頃から備え付けが始まった図面ですので実際取得してみると昭和30~40年代のものも多くあります。その頃の図面となると計測のやり方も大雑把でおおよそ信用できないというのが実情です。

不動産を売却するには必ずしも境界を確定する必要はございません。現地を見て隣接者や道路との境界を示す境界標があって関係各者が了承していれば現況での売買も可能です。取引する面積は法務局で取得できる登記簿謄本の面積となり公簿売買という契約方式となります。

不動産会社が販売する際にはほとんどのケースで境界の確定作業を実施いたします。公道が絡んでいる場合にはまずは行政との日程調整を行い、続けて隣接者への案内を行います。申請から2~3週間後の日程となることが多いので関係者にも余裕をもって調整いただけます。

隣接者にかかわる大切な作業ですので、本人が参加することがほとんどですが、遠方にいたり都合がつかない場合には委任状を持って親近者が代理で参加したり、後日に測量担当の土地家屋調査士から出向いて確認することもございます。作業時間は早くても1時間程度はかかります。

稀に見解が合わずに境界の確定ができないケースもございますが、一部未確定の状態で取引をするか土地の範囲だけでも公的な機関により決める筆界特定制度を利用したりという方法などが考えられますが、最悪の場合は取引そのものがなくなるということも想定されます。

公図や測量図である程度範囲が分かっていて現地で境界を確認するという作業でも稀に揉め事が生じているケースもあります。取引は可能でもそんな場合は専門家立会の下、お互いが納得するように始末をつけるか、場合によっては諦めたほうが良いということになるでしょう。