不動産の売買は大きな金額が動きますので、売買するご本人が契約行為をすることがほとんどですが、売買契約の売主側が代理人を立てて契約行為をするケースは時々あります。例えば複数区画の分譲地において売主会社と販売会社が異なるというケースなどがあります。

不動産売買の購入委任状

不動産を購入する際に代理人を立てるという場合は、ご親族が代理人になることがほとんどです。購入する物件が決まっていれば、重要事項や売買契約の内容については事前に本人に内容を確認いただいた上で、後は契約行為と代金の支払いという実務行為となります。

代理人はあくまでも本人の代わりということになりますので、最終的には司法書士による本人確認は必要となります。免許証やパスポート等の確認書類の提出はもちろん、本人限定受取郵便や転送不要郵便で書類を送付してさらに電話等により本人を特定することになります。

所有者になりすまして不動産を売却する地面師という詐欺事件がありましたが、購入する側のなりすましというケースは転売目的であっても考え難いですが、それでも本人を特定するための確認行為というのは非常に重要となってきます。

先日に弊社サイトから相談のあった方が知人が新築建売住宅の購入を検討していて、さらに諸事情により急いでいるというお話でした。知人はあまり表に出たくない方なのでご相談者が代理人として契約をしたいということでした。

代理人による契約は可能ですが、知人の代理で急いで購入したいということ自体疑わしい感じがいたしましたが、そんな状況ですので購入する物件も早々に決まりいざ手続きについての説明に入り始めると何となく本人と代理人のやりとりが不穏な感じに・・・

代理契約とは言え、本人を特定する確認書類は必要であることを伝えて写真でも良いので免許証やパスポートを電送するようお願いいたしましたが、結局確認することはできませんでした。そのうちに代理人の方も知人かどうか疑わしいということになり話はなかったことにいたしました。

本人と代理人のやりとりがSNSだけで電話しても出ないということからして現実的でないような気はしていましたが、偽装だとしても一体何が目的だったのか未だに理解できていません。本人が確認できないような不動産売買はお断りということで落着した次第です。