指定された遺跡内で、盛り土・掘削を伴う建築工事、解体造成工事などを行う場合には、文化財保護法という法律に基づいて工事の届出が必要です。工事着工の60日前までに松本市であれば文化財課に申請書類を提出しなければならないことになっています。

松本市波田の三溝駅近くにある真光寺遺跡を示す地図
松本市波田の三溝駅近くにある真光寺遺跡
🏺波田地区で初めて見つかった円墳

中部縦貫自動車道松本波田道路の建設予定地となっている、真光寺遺跡で円墳が発見されました。

建設工事に先駆けて4月頃から発掘調査を進めている中で見つかったもので、波田の地域史をより明らかにする上で重要な発見になるとみられています。

円墳は盛り土になっている墳丘で、直径は12m、南側には幅1.85mの開口部があって、奥行きは約7.5mの横穴式石室となっているそうです。

隣接する新村地区では過去に古墳が発見されていたこともあり、波田地区にもあるだろうとは考えられていたようで、今回の発見となったようです。2年計画で発掘調査が進められて、作られた時代や埋葬された人物や装飾品を調べるということです。

古墳の発見は、かつてその周辺に集落があって、人々を率いる力のある人物がいたこと、古墳を作って埋葬する人々がいたことなどがわかり、古墳時代当時の人々の暮らしぶりが垣間見れるというのは何ともロマンを感じますね。

埋蔵文化財発掘調査中の現場
🏺工事がストップしてしまうという一面も

一般的な住宅を建築する程度であれば、届出は行わなければいけませんが、周辺での調査実績があったりすれば何もしないで着工できます。仮に調査が必要となっても、よほどの大発見でもない限り、すぐに調査が終わって費用もかからないと思います。

以前に遺跡内の土地にて、宅地分譲を手掛ける機会がありました。分譲地内には市に寄付する予定の道路も通りますので、しっかりと調査が行われました。道路となるとそうそう解体することは考えられないので、調査の際にはとことん調査します。

何もなければ採取品を確保してすぐに埋め戻すのですが、その時に限って平安時代のものと思われるキッチンが出土したのです。興味津々の発掘調査側とは裏腹に、こちらとしては時間と費用がかかるという結果になりますので、何とも複雑な気持ちでした。

結果的に調査に2~3ヵ月の時間を要したうえに、資料作成等の費用まで負担する運びとなりました。何だか腑に落ちないような感じではありましたが、6区画が間もなく完売となって一安心でした。

キッチンが出土したということは、当時から住みよい環境だったということで、住宅地として生まれ変わってよかったのかも知れませんね。