不動産の購入を検討する際に、その不動産が共有名義になっている場合があります。相続した不動産にはよくある状態で、兄弟や親子で共有状態になっているケースは良くあります。

そんな共有不動産を売却をするには、当然名義人全員の承諾が必要となります。

共有名義遺産相続の家族会議のイラスト
👥共有名義の不動産は全員の承諾が必要

例えば相続した不動産が共有名義となっている場合は、誰かひとりが売りたいと言っても誰かひとりが反対すれば売却はできません。

相続した不動産が実家だったりする場合には、皆それぞれに思い出や思い入れがあるものですが、空き家にして放置していたら建物は徐々に劣化していきますし、固定資産税も連帯して全員で負担しなければいけません。納付書は持分に応じて届くわけではなく、代表者のところに届きますので、その負担方法も相談しなければなりません。

時間の経過により建物が徐々に劣化していって、その管理や保全についても所有者全員で連帯して行わなければいけません。相応の費用負担も発生してきて、増々話し合いがうまくいかなくなるケースも想定されますので、引き継ぐ親族がいないのであれば、様々な感情や思いはあっても、売却するのが得策だとは思います。

👥売買契約の場にお兄さんしか来なかった

そんな共有名義の相続不動産の売買に携わった時のことでしたが、その不動産は兄弟2人で相続されていました。しかし売買契約の当日には長男だけが同席することになりました。

弟さんは急用で来れなくなったとのことでしたが、長男に契約行為を委任する書面はありませんでした。しかし売主側業者も弟本人に会って確認しているということでしたので、一抹の不安を抱えながらも重要事項の説明に入りました。

その後、決済引渡しに向けて準備をしていましたが、日時を変更してほしいという連絡があり、理由を聞いてみたところ、弟さんが売却に消極的になり始めたというのです。

一抹の不安がありましたので驚きはしませんでしたが、買主側としては晴天の霹靂です。もうお引越しの準備も始めていましたので、とりあえず買主側には伝えずに、弟さんとの話し合いの結果、予定通りに決済引渡しを行うことができました。

何とも勘弁してもらいたい気持ちでしたが、無事に済んでほっとしました。買主さんには、弟さんの都合で決済日時を変更する可能性が出たが、予定通りに行きましたとだけお伝えしておきました。

共有名義の危うさを実感した次第でした。