何らかの理由で住宅ローンが支払えなくなり自宅を売却することになった場合、金融機関等の債権者の承諾を得て売却する方法を任意売却と言います。承諾が得られなかった場合や黙って滞納を続けていると、債権者から裁判所に申し立てられて競売という強制手続きに入ることになります。

裁判所のイラスト

競売になると一般世間に知れ渡り、通常は第三者が落札してその後は強制的に退去させられますので、出来ることならその前に任売売却により身内と内々で取引を済ませて、さらにその後も住み続けることができればと望む方も多いでしょう。

そこで考えられるのが、親子間での売買となります。金融機関等の債権者の了承が得られれば、メリットも多くストレスの少ないこの任意売却を選択することになります。ただし親子間での売買というのは様々な障壁があるのも事実です。

まずは住宅ローンを利用するのが難しい点です。そもそも住宅ローンが親子間での売買を想定していないうえに、親子間であるがゆえにローンの使い道が純粋な購入資金だけでなく他の借入の返済等にも利用される恐れがあるなど、金融機関側からしてみれば慎重にならざるを得ないのでしょう。

不動産の売買価格も慎重に決めなければなりません。親子間だからといってあまりにも安価に設定してしまうと、債権者が認めなければそれまでですが、仮に了承されたとしても相場価格と乖離している分は贈与とみなされ多額の贈与税が発生します。

不動産価格については、債権者から弁護士等の管財人を通じて不動産会社に査定の依頼が来たりします。不動産取引の専門家として、対象不動産の適正な査定から取引の仲介者として業務に携わることになります。

債権者の了承を得て売却価格が確定してもさらに債権者が複数いる場合には、担保権の解除費用、俗にハンコ代ともいわれますが、その調整も必要になるなど数か月の時間を要することもあります。任意売却を検討される場合には早めに相談されるようにしましょう。