不動産の売買取引では、売主業者から直接購入するあるいは仲介会社を介して取引を行うというのが一般的な方法です。一方、不動産会社を介さないで個人間で直接取引する方法も考えられます。親戚間や親しい知人間で直接取引するということはよく聞くお話です。

契約書に押印するイラスト

もちろん契約は自由ですので、個人間で不動産取引を締結しても有効に成立します。親しい個人間であっても、後になって言った言わないがないように売買契約書は交わしておきたいところですが、ノウハウがないのでここで躓く方も多いです。

個人間での取引の大きなメリットは仲介手数料が発生しないことですが、専門的な知識を必要とする売買契約書の作成については多少の費用はかけても専門家に相談した方が得策でしょう。弊社でも多少の仲介料を頂戴してお手伝いしたことはございます。

また買主側がローンを組むとなると、仲介会社が介在していない取引だと審査が厳しくなったり、あるいはローン自体をお断りするという金融機関もございますので、ここは事前にしっかりと相談するようにしたいところです。

個人間取引の場合は、契約条件の細かい取り決めもなく、ただお金を払って所有権を移すだけというケースが多く、後になって譲り受けた不動産に何らかの不具合があっても買主側で対処しなければなりません。

多少の不具合も織り込み済みでの価格設定であれば納得できるかもしれませんが、価格設定についても結果的に相場より高かったりすることも考えられます。ただネット情報社会ではこの辺りの相場感については売主買主ともにある程度は把握していることも多いでしょう。

売買契約には通常、契約不適合責任という売主責任が生じますが、業者が売主であれば最低2年間は責任を負います。例えば購入後すぐに雨漏りしたり給排水管に不具合が生じた場合には売主側で対応することになります。

個人間取引でも仲介会社が入っていれば数か月間の契約不適合責任を負うという検討もしますが、何もなければすべて買主側で対応することになり、雨漏りや給排水設備の不具合を補修するのに云百万かかるというリスクもあります。

個人間で不動産取引を行う場合には、口約束だけでなくしっかりと書面に残すことはもちろん、多少でも不安があるようでしたら専門家に相談して進めるようにしましょう。