以前に中古住宅の販売のお手伝いをさせていただいた時のお話です。
不動産の売買は土地と建物の売買ですので、家具や家電はもちろん対象にはなりませんが、時々以前の方が利用していた家具や家電をそのままの状態でお引渡しすることはあります。
💺いただけると思っていたソファーがない
無事に売買契約を交わして、ほとんど何もない状態の室内を売主と買主の立会いで現地見分をすることになりました。
ゴミや不要品は全て片付けられていましたが、当初から居間にあるソファーはまだ使えそうということで、買主がそのまま使うというお話になっていました。お金のやりとりもなかったので特に書面を交わすこともなく、口約束でソファーをそのまま使うというお話でした。
その後、売買代金のお支払いを済ませてお引渡しとなりましたが、あらためて現地に行ってみると、使うはずのソファーが消えていました。売主に確認したところ息子さんが使いたいということで運び出してしまっていたとのことでした。
何とも微妙な空気が流れたような記憶がありますが、買主もお金を払ったわけでもなく、使えるのであればというくらいの気持ちでしたので、事情を知らない息子さんを責めるわけにもいかずに、仕方ないという感じではありました。ただ同じようなソファーを新調すれば〇〇万円はするだろうというお話はされていました。
💺口約束でも契約は成立しますが
厳密に言えば、約束事は口頭でも法的に成立しますが、言った言わないとなる恐れがあるのでほとんどの契約事は書面で約束します。不動産の売買契約についても必ず書面にて合意を確認します。
家具や家電については不動産の対象ではありませんので、どこにも明記されていません。不動産の重要事項説明の時に付帯設備一覧表という書類を添付しますが、これについても基本的には建物を利用するにあたって最低限必要なもの、例えば給湯設備や水回り設備や照明建具といった設備の有無の確認をするために作成します。
もっと言うと売主が撤去するかしないかの意思表示をする書面という性質がありますので、記載されていないものについては全て撤去が前提で、記載されているものについては従物として買主に所有権が移ります。
そこで仮に家具や家電をそのまま使うなら、法的には所有権まで移転するかどうかは微妙なところではありますが、その他設備という項目に追記して記載しておくことも互いの意思確認という意味では有効でしょう。
金銭の授受があるのであれば書面で契約することが望ましいですが、ご厚意であることが多いのでそこは互いの意思確認というところで気持ちよく取引したいものですね。