あまり管理されていない植栽の木枝がお隣や道路にはみ出していて、通行に支障をきたしているような状態を時々見かけますが、ある程度のご近所付き合いがなければ切除のお願いも躊躇するものですよね。ましてやこれから購入を検討している土地であれば、いきなりお願いするのは気が引けるものです。
現行の民法では、隣地の竹木の根っこがはみ出ている時は自ら切り取ることができますが、枝葉についてはその所有者に切除させる必要があります。受け入れてもらえない場合には、訴えを提起して判決を得て強制執行の手続きをとる他ありません。
ご近所付き合いが希薄な状態で訴えを提起すれば、切除に応じたとしても今後のご近所付き合いがかなり難しくなってくることが予測されます。やはりまずはお話し合いの場を設けて丁寧にお願いするというスタンスから始めたいところですね。
令和5年4月1日より民法が改正されて、所有者に枝葉を切除させる必要があるという原則は残しつつ、訴えを提起しなくても、所有者に切除の催告をして相当の期間(2週間程度)内に切除しない時は枝葉を自ら切り取ることができるようになります。
道路を所有する国や地方公共団体も、新たな規律によって枝葉を切り取ることができます。また切除に要する費用は所有者に請求することができますが、催告に応じないからと言って、勝手に切って請求するなんてことはあまり善策とは思えないですね。
だからと言って何もしないでますます状態が酷くなってくることも考えられますので、ここは法律の改正もあって、この機会にお願いに参りましたということで、お話合いの切り口に使ってみるというのはいかがでしょうか。
枝葉が目隠しになって交通上危険な状態になっていれば、催告なしで切り取ることもできます。お困りの方は今回の法改正を契機にお話合いの場を設けてみましょう。