建築基準法では、幅1.8m以上4m未満の道路に接している土地に建築物を建てたり建替える場合、原則として道路の中心線から両側にそれぞれ2m後退する必要があります。後退した部分は道路になりますのでそこに築造されている塀などは解体しなければならなくなります。

道路後退した土地

松本市道の実に20%弱が後退する必要のある道路となっていますので、単純計算で5件に1件は対象になるということです。駐車場で利用していたり建替えする予定のない場合は道路として寄付する必要はございませんが、松本市に申請すれば任意で後退して道路を広げることはできます。

行政によっては寄付ではなく例えば1㎡あたり6000~8000円で買い取ってくれるケースもございましたが、松本市では寄付のみ受け付けとなっています。寄付する代わりと言っては何ですが松本市では道路後退に伴ういくつかの費用を負担してくれます。

例えば後退用地等に係る測量や分筆、松本市への所有権を移転するための登記費用を負担してくれます。また後退用地内の塀や柵、樹木や擁壁といった工作物の撤去費用に対して補助金を交付してくれます。あとは隅切り用地の提供に対する奨励金もあります。

実際に弊社で買い取る予定の物件についても、狭隘事業の申請をすることにしました。毎年4月から受け付けて申請順に手続きが進みますので早めに準備をしておきます。それでも寄付行為までに2~3ヵ月は要すると思われますので、その間は何もできないことになります。

もともと境界の確定測量をする予定でいましたので、急がないのであれば事業を活用して、測量費や多少でも塀の撤去費用の補助金が出るのはありがたいことです。時間がかかるのとあとは当然ですが販売面積が小さくなるというデメリットはございます。

補助金については例えばブロック塀の場合は1㎡あたり20,200円の補助が出ます。1.2m×10mmで12㎡だと242,400円ということで実際にかかった費用を限度に100万円まで補助されます。また代わりに新たに擁壁を設置する費用も1㎡あたり23,000円の経費補助があるのもありがたいことです。

松本市の特に中心部にはまだまだ狭い道路が多く存在します。後退した道路であっても寄付した部分に電柱や支線が飛び出ていたりして危険な箇所もありますが、こちらは松本市の管轄外ですので、電力会社等が少しづつでも整備していって安全でキレイな街並みにしてもらいたいですね。